日々雑多なこと、時々書評。 自前のデジカメ写真もたまに掲載。 こっそり のんびり 更新いたします。
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2008年12月05日 (金) | 編集 |
 『竹取物語』 高橋貞一 : 編
2007年03月05日 (月) | 編集 |
もと光たる竹なむ一筋ありけり。


「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。
野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事につかひけり。
名をば さるきのみやつこ となむいひける。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありけり。
あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり…」

超有名な日本の童話「竹取物語」。
子供の頃に必ず見聞きするお話ですね。
小さな子供向けには、その時々の漫画の人気キャラクターが
お話の主人公になるリメイク版などもあり、
現在でもまだまだ「隠れたベストセラー」といえるのではないでしょうか。

この話、旧仮名遣い(または原文の古文)で読んだこと、おありですか?
私が中学生で古典を習ったときには、教科書にこのお話の最初の部分が
載っていましたが…
中1の娘の国語の教科書をちょいと拝借(ナイショ^^;)、
パラパラとページをめくると ありましたv

ここで引用した冒頭の部分を古文で、あとはあらすじを現代語で解説しつつ
中身を大分すっ飛ばして、かぐや姫の求婚相手への課題の一つ
「蓬莱の玉の枝」の場面をまた古文で取り上げています。

現代文で書いてしまうとちょっと物足りない感じのするお話ですが
もともとの古文で読むとなかなか雅な感じがして、
王朝文学の美しさというものが じ〜んと心に沁み込みます。
日本の文化も外国には負けないよ^^ と にっこり。

最近、英語の絵本漬けな生活を送っている私ですが
先週立ち寄った馴染みの古本屋を物色中に
この『竹取物語』を見つけました。
児童書のコーナーにあったので、小学生ぐらいのお子様向けかな〜、
中高校生辺りの古典解説書かな?
と 手に取ったのですが…どっこい。

中身は純粋に「竹取物語」でした。

古語の解説も、時代背景の説明も、本文中には何もありません。
扉書きには この本の話をどの原本を元に編纂したのかだけが記されていて、
文も読みやすいように漢字・句読点・歴史的仮名遣いに統一した
とあるだけで…
後書きには このお話のモデルになったであろう登場人物について
実際に歴史に名を残している帝や殿上人などの解説が少し。
子供向けに省略されたり、話を変えられたりはしていない
限りなく本物の話に近い本、という感じですv

そこで、中学の時にうろ覚えで気になったままだった
最後の場面を確認しました。

結局は帝の努力も、養父母の思いも空しく天に帰ってしまった
かぐや姫ですが、形見にと手紙と天女が持ってきた不死の薬とを
置いていきます。
けれどもかぐや姫を慈しみ育てた老夫婦は薬には見向きもせず、
嘆き悲しむ余りとうとう床に伏せってしまいます。
薬は手紙と共に かぐや姫を守る為に兵を指揮した頭の中将によって、
帝へと届けられるのですが…

「逢ふ事も涙に浮ぶ我が身には 死なぬ薬も何にかはせむ」

と 帝もまた、かぐや姫のいないこの世にいても甲斐なく、
不死の薬などいらないと
日本で一番高く、天に近い山の頂へ行って燃やすようにいいつけ、
勅使が選んだのは現在の富士山。
この山の名前は本当は「不死山」であったことは、
ちょっと有名な逸話ですが、その名の由来はこの…
『竹取物語』の最後「不死の薬を頂上で燃やした」から
来ているのだといわれています。切なくロマンチックなお話ですね。

竹取物語


『竹取物語』
   文芸文庫 日本古典文学編(1)
   高橋貞一 : 編
   勉誠社 : 出版

この本は古本屋で見つけましたので…
同じものはもう絶版かもしれません。
なにしろ私の手にした品は1982年の初版本です。25年前の本ですね^^
その割にはとても綺麗な状態の本なのですが
古本屋での本との出会い、実に興味深い事が多いものです。

冒頭の写真は、嵐山の「野々宮神社」の近くの竹林です。
源氏物語に出てくるこの神社、周囲には美しい竹林の道があります。
竹取物語も このような竹林の美しい所で生まれたのでしょう。

現代の本も、洋書も面白いものですが。
たまには日本の古典物など…如何でしょうか^^


 『耳猫風信社』 長野まゆみ : 著
2007年02月24日 (土) | 編集 |
耳猫風信社


デビュー作「少年アリス」からずっと 
不思議な少年達の世界を描く作家さんです。

文中の言葉遣いも変わっていて、わざと古めかしい仮名遣い…
(「〜じゃないか」を「〜ぢゃないか」としたり
「洋墨」と書いて「インク」と仮名を振ったり)をして、
どの作品も とてもノスタルジックな雰囲気です。
丁度あの有名な宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」(旧仮名遣い版)、
あれと非常に似た香りのする作風です。

この「猫耳風信社」では、11歳の「ぼく」ことトアン少年が
ある日不思議な少年と出会います。
出会った場所も、いつもの自分の街ではなく、
普段は馴染みの無い隣町。
でも、少年と別れた後 何度その場所へ行こうとしても
どうしても見つかりません。
そのうちに、仲良しの少年ソラも加わって…

二人と不思議な少年、カシスは再び出会い、
不思議な街で 不思議な人々との交流が芽生えます。

長野まゆみは私の好きな作家さんなのですが、
この作品は 文庫では光文社文庫から出ています。
が、この光文社、紙の質が大変悪く、
本屋さんで古本でも無いのに この文庫の本だけが
非常に黄ばんでしまっているのをよく見かけます。
ましてや古本ではとても…買えた物ではありません;;
他の作品も揃えたいなと思うのですが、あれではどうにも
買う気になりません…出版社には 是非何とかして欲しい所です T_T

けれども今回は非常に運が良く、古本なのにまだほんの僅かにしか
黄ばんでいない! というものが手に入りました^^
まぁ、それも時間の問題かとは思うのですけれど。

長野まゆみの作品といえば、
「少年アリス」「天体議会」の2冊が私の大のお気に入りなのですが、
この2冊は昔 お小遣いをはたいてハードカバーで買ったもので…
現在では、とっくに実家の方で処分され手元に残っておりません。
当時の装丁のものは、多分もう
古本屋ででも見つからないかもしれません;;
この2冊、出来ればもう一度手にしてみたいものです。

暫く余所見をしているうちに、随分と沢山の作品が出ているようです。
またネットでチェックを入れつつ、
のんびりと古本屋落ちを探してみようと思います。
(でもこの人の作品、なかなか古本屋にもないんですけれど;;)

本の厚さも・字の大きさもさらりと流れるようにちょうどよく、
透明感あふれる不思議な気分になりたいときに
束の間の異空間へとすんなり遊びに行かれます。

『耳猫風信社』
  長野まゆみ 著
  光文社文庫  定価 438円 +税