日々雑多なこと、時々書評。 自前のデジカメ写真もたまに掲載。 こっそり のんびり 更新いたします。
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 「子羊の巣」 坂木 司 : 著
2007年01月22日 (月) | 編集 |
子羊の巣

相変わらずののんびり更新で…^^;
前回の納豆騒動の記事、次のこの記事をUPする前に
あっけなくも馬鹿馬鹿しい終了となりまして、
まったく日本は脳みそお目出度い国だわね、と一人毒づく銀猫です。
(普通に納豆好きで食べていたのに 急にそのシアワセを取り上げられた
腹いせです。食べ物の恨みは怖いんですよ~)

さて。気を取り直して…

先日ご紹介しました「青空の卵」の続きです。
今回は、新本を本屋さんで買ってしまいましたので
(古本屋落ちが待てなかったのです…)
ご紹介画像も帯つきです。「ひきこもり探偵、外出す」。

第一作で登場した「ホームズ」こと鳥井くん、そのひきこもり振りは
筋金入りでありました。
人と会いたく無いがために、選んだ仕事は「コンピューター・プログラマー」。
このお仕事、実際にどれだけ人と会わずに出来るものなのか
銀猫には今ひとつわかりませんが、
普段の食料品さえもネット通販で取り寄せという 徹底的な外出嫌い。
このままではイカンと、「ワトソン」こと坂木くんが
宥めてすかして持ち上げて、ようやく「坂木くんつき」の条件で
マンションから僅か500メートルのスーパーまでなら
時々は渋々出かけるという有様です。
もちろん、それ以外の外出は一切なし。全然なし。これっきりもなし。
坂木くんが一緒でなければ、絶対に外に出ないという重症ぶり。

何が彼を、ここまで外出嫌いにさせたのか…??
その原因は第一巻「青空の卵」でも少し出てきましたが、
中学生の時の事件が切っ掛けです。
以来 極度の人間不信に陥ってしまった鳥井くん、その彼が
唯一心を許したのが坂木くんでした。
そして坂木くんの方もまた、そんな鳥井くんをあえて必要とする
「自分ではわかっていてもどうしようもない」理由があるのです。

シリーズ第二巻、「子羊の巣」では
そんな二人の様子が一巻よりも更に深く、書き込まれていきます。

この二人の関係は、とても不思議な関係です。
お互いにお互いを唯一として求め合っているその様子は
一般的な「親友」ではありえない…それ程に強い、特殊な絆です。
かといって、いわゆる「恋人」なんかでも勿論ありません。
(この本の三話目で坂木くんは「ホモ疑惑」を受け、見知らぬ女の子に
散々ひどい嫌がらせを受ける羽目になりますが…)

その自分の気持ちを、坂木くんはきちんと把握しています。
自分が鳥井くんを世の中から隔離して 独占してしまいたい
本当の理由。自分のワガママから出た、許されざる理由。

鳥井くんが自分に向ける強い信頼は、ただ単に「中学の時の事件」で
鳥井くんに手を差し伸べたのが 坂木くんただ一人であった為。
その「助け」さえ、坂木くんにとっては計算づくの…
「今、助ければ。自分はこの人の「一番」になれるかも」という、
坂木くん自身にも許せない卑怯な下心から。

「鳥井は自分によって そう仕向けられた」のだと、
ずっと自責の念に駆られながら、そしてその苦しさを誤魔化すために
ひきこもりの鳥井くんを外の世界に連れ出そうと試みる。
それで本当に鳥井くんがひきこもりではなくなってしまったとしたら
どんなに自分が悲しく惨めな気持ちになるかも知りながら。

変ですか?
こんな関係、ありえない?
…いいえ。私にも覚えのある、むしろ馴染み深い感情です。
その程度の強弱はあれども、みなさんもきっと経験有りです。
子供の頃…「親友」を独り占めしたくはなかったですか?
「憧れのお兄さん」「憧れのお姉さん」に
自分ひとりを見て欲しいな、なんて ふと思ったことはありませんか?

「この人の世界の全てが 自分だけ。自分が手を離したらこの人は
きっと生きてはいけない」 という優越感とか
「この人がいない世界など考えられない。この人の為なら何だってする」
という盲目的信頼とか。

坂木くんの気持ち、鳥井くんの気持ち。
どちらも私には覚えのある感情が、根本はお人よしで
どうしようもないくらいに優しすぎる坂木くんの言葉によって
巻き起こる事件の合間に徐々に深く 読者の心に刻まれていきます。

この第二巻では、坂木くんの心の葛藤を背景に
「坂木くんつき」という条件は変わらないけれども、
もう少し遠くまで…電車に乗って行かれるくらいの遠くまで、
ひきこもりの鳥井くんが そろりと外へ歩き出す。
坂木くんを悩ます事件を解決するために、勇気を出して
外出を始めた名探偵が、再び色鮮やかに
こんがらかった人間模様を解き明かす…そんなお話が三篇です。

鳥井くんの相変わらずの名探偵振り、けれどもそこに潜む
深い、深い心の傷。
名探偵を助けながらも、自分の心の葛藤に悩む坂木くん。

二人に関わる人々はみんな、絡み合った誤解のカタマリを
二人のおかげで綺麗に解いてもらえるのに…
そして新しい明るい関係を掴み取ることが出来るのに。

最後の巻はどうなってしまうのか、どうしても読まずには終われない。
そんなハートフルな推理小説で、優しいひと時を どうぞ。

「子羊の巣」 坂木 司 :著
    創元推理文庫 
    定価 :本体686円 +税
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コメント
この記事へのコメント
NoTitle
独占欲…ありました!わかります☆
興味深い本ですねぇ~
様々な人間模様覗いて見たいわ!近頃老眼が進み
活字離れなもんで…^^;

東京の娘が残して行った本、友人から借りた本
落ち着いて読書の時間も作らなきゃ…!!
2007/01/22(月) 20:52:22 | URL | もっちゃん #-[ 編集]
もっちゃん様、いらっしゃいませv
読書の時間を作るって、結構大変ですよね~。
私も、子供らの冬休みに合わせて家事を手抜きしまくり、
溜まっていた20冊ほどをやっと読破しました;;

それでもまだ、あと15冊くらい残っています…
こりゃ春休み回しかな~;; です。

そんなに時間のやりくりに苦労して読んだのに、
つまらなかった! なんて本の場合にはガックリきます。

年末年始に読んだ本の約3分の1が「つまらない」、
残り3分の1が「まあまあだけど、ブログで紹介するほどではない」、
そして最後の3分の1がようやく「面白いv」でした。
う~ん、報われない…;;

この部屋、ブログの人気ランキングの「和書」に登録してあるのですが
そうそう本の紹介ばかりというわけにもいきません。
ランキング、外した方が気楽かなぁ? と
思ったりもします^^;
ま、もう少し様子見です。

私は、この本の鳥井くんとはタイプが違いますが
「他の人と普通に上手く付き合えない」友人に
とっても頼られた(?)時期がありました。
その時の感じが、この本の二人に似ていたところもあったんです。
それで余計に面白いと思ったのかもしれません。

それを抜きにしてもいい本だと思いますので、
「寝しなにいい気持ちで読み終えられる本」としてお勧めです^^
2007/01/23(火) 08:04:46 | URL | 銀猫 #MfasQhOY[ 編集]
なるほど~
こんにちは^^
ちょっと違うかも知れませんが、私も弟が生まれた頃に母親を弟に取られた!という気持ちになりました。
私は、父の仕事の都合上転校が多い環境で、幼稚園2つに小学校3つ通いました。
幼なじみなども出来ずに、親友と呼べる友人も出来ない子供時代でした(T_T)
同じ関東エリアでも言葉が訛っていることで、転校先でいじめられたりもしました。
おまけに、できあがったグループがあちこちあるのに馴染めず、小学校の帰りに誰かと遊んだといういう記憶がありません。でも、ちょっと親切にしてくれた人を独占したいという気持ちなったことがあった気もします。
そういう経験からか、今も1人で遊ぶことに抵抗がありません。
それが勢いを増して、「亭主元気で留守がいい」と毎日心の中で思っています(爆)
2007/01/23(火) 12:10:59 | URL | mai #-[ 編集]
mai 様、いらっしゃいませv
私も小さい頃から今まで 転勤の多い暮らしですが
mai さんも同じくらいの転勤族なんですね。

幼馴染って、私もちょっと憧れる響きです。
私の場合は、それらしきお付き合いをしてくれるお友達が
まだ2人いるのですが
遠くに離れていますので、実際に会うことは難しいです。
一人は長年会えなかったのですがようやく去年会うことが出来、
もう一人は最後に会ってから、もう4年以上経ってしまいました;;

「亭主元気で留守がいい」vvv
私もそう思います。だって、主人とは趣味が合わないので
一緒に出かけても楽しいのは…
お互いが同じ店内にいるというだけの「本屋」。
好き勝手な棚を別々に見て歩いて、帰りにお茶するくらいが
一番平和な「夫婦でおでかけ」のパターンです^^;
2007/01/23(火) 19:00:01 | URL | 銀猫 #MfasQhOY[ 編集]
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