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 「Little Tern」 ブルック・ニューマン:作 
2006年10月26日 (木) | 編集 |
Little Tern

以前「カモメのジョナサン」をご紹介しましたこと、覚えておいででしょうか。
(ん? なんだっけ、と言うお方は「こちら」をクリック^^)
「Little Tern」の裏表紙にある “「ターン」は21世紀の「ジョナサン」なのか!?”
という煽り文句と、沢山の美しい水彩画の挿絵に釣られて購入しました。

この本は「カモメのジョナサン」と同じく、五木寛之氏の日本語訳です。
作者のブルック・ニューマン氏は カバー折り返しの紹介によれば
「編集者、作家、脚本家」となっています。

「カモメのジョナサン」では、沢山のカモメの白黒写真が挿絵として
入っていましたが、この本ではこれもまた沢山の美しい水彩画が 
その役を果たしています。
日本語訳の文庫本の厚みは、両方とも丁度同じくらいです。
主人公はかたや「カモメ」、こちらは「コアジサシ」という海鳥です。
タイトルの「リトル ターン」は日本語でコアジサシ…
ジョナサンと違って、この本の主人公には固有の名前がありません。

「カモメのジョナサン」は どんな内容だったでしょうか。
ジョナサンは空を愛し、「飛ぶ」事を愛し、
ただひたすらに飛行技術を磨き、高みを目指して努力を重ねる…
それはまさに、この事に命を賭けても悔い無し という
努力の素晴らしさ、そこから得るものの大きさを教えてくれる本でした。

対する「Little Tern」。
この本は、五木氏のあとがきにもありますが 
まさに現代人向けの内容ではないでしょうか。

飛ぶことをどの鳥よりも得意とするはずのコアジサシ、
その主人公「ぼく」は ある日突然「飛べなくなってしまった」のです。
慌てた「ぼく」は早速、どこが悪いのか点検します。

けれども不思議な事に、体はどこも悪くない。
何度点検してみても 翼も羽も尻尾もどこも悪くありません。
結局「ぼく」は飛べないままに…仲間と離れて、
地上を彷徨う暮らしを始めます。

今まで当たり前すぎて、それが「出来る」ことさえ忘れている事が
急に「出来なく」なったとき、貴方ならどうなさいますか。

体はどこも悪くないのに
文を綴る仕事の人が 突然紙の前で呆然とする。
絵を描く仕事の人が 突然何も描けなくなる。
野球の得意な人が 突然バットを振っても球に当らなくなる。
それとも、もっと身近なところで
ある朝突然…学校や会社に「行かれない」自分を発見したら?

そんな風に 唐突に「飛ぶ」方法を思い出せなくなった「ぼく」は
途方に暮れて海岸を彷徨う旅を始めます。

どうして飛べなくなったのでしょう。
どうしたらまた 飛べるようになるのでしょう。
「ぼく」は再び飛ぶことが出来るようになるのでしょうか?

これは、小さな海鳥のそんな心の葛藤の物語です。



現代はストレスに満ちています…
学校へ、職場へと出かけていく人は勿論、私のように家に篭って
楽なはずの専業主婦である人、あるいは仕事と主婦を兼業する人。
数十年を働き通してようやく退職して引退した人、
まだ幼い保育園や幼稚園に上がったばかりのおちびさんたち。
みんなみんな、生きているからには何らかのストレスを感じています。

それが少しずつ降り積もっていき、自分でも知らないうちに
ある日突然「当たり前に出来ていたことが 出来なくなる」。
これはとても怖いことのように思えます。

しかし物語は淡々と進みます。
今まで空を飛んでいることが当たり前で、
地上にいる時間などほんの僅かであったのに
「ぼく」は自分の目の前に急に広がることになった 
新しい地上世界の様子を注意深く見守っていきます。
それまで考えもしなかった事についてあれこれと考え…
自分についてもじっくりと考え…

そういう時間、私たちにも必要ですね。
心が疲れたら 自分の周囲を見直し じっと考えてみる。
その結果でしか見えてこない、生きる為に大事なものとは何でしょうか。

あれもこれもと興味を伸ばし、自分を見失いかけていた私には
ちょうど良いストッパーとなった1冊でした。

この秋「ぼく」と一緒に 静かに人生の思索に耽りたい方に 
是非。

「Little Tern」 ブルック・ニューマン 作
         五木寛之 訳
         リサ・ダークス 絵
         集英社文庫 定価476円+税


 本日のBGM … 「TAM Music Factory 」サイト様より
            「いつの日か」
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コメント
この記事へのコメント
なるほど・・
あ~また読みたい本が増えちゃいましたぞ・・どうしましょ。

自分の知らない物を(場所を)知る。
違う場所から自分のいた場所を見る。

大切ですよね。。。渦中にいるとそれだけのことなのにその発想ができなくなってしまう。
怖いことです。それらを教える立場の親としても・・反省^^;ですぅ。

さて、読み残しの本。まず読んじゃいます。えへへ。
2006/10/26(木) 22:00:00 | URL | hapico #-[ 編集]
hapico 様、いらっしゃいませv
普段の暮らしはあれこれと忙しくて、
何かあってからでないと「自分について考える」なんて
中々出来ないものですね~;;

本当に、外から見ていると事態はとてもわかりやすいと思うのに
いざ 渦中の本人になると見えなくなる。
困ったものです。

私の読む本のジャンルはほいほい飛びますが、
1冊でも「あれ、面白かったよv」と言って頂けるものがあると
嬉しいです…^^

私もまだ数冊、待機中の本があります。
秋の夜長、お互いに少しづつ読み進めて参りましょうv
2006/10/27(金) 06:30:55 | URL | 銀猫 #MfasQhOY[ 編集]
おはようございます
朝からご訪問頂き、ありがとうございました!
予約していた【ぼくの・稲荷山戦記】を、昨日ようやく借りることができました^^
文庫本ではなく、ハードカバーの大きな本でしたが、字も読みやすくてコーヒーでも飲みながらゆっくりと楽しみたいと思います。
【カモメのジョナサン】の時も、韓国語の勉強に行き詰まっていたときに読んで、勇気づけられました。お陰でと言ったら大げさに聞こえるかもしれませんが、引き続き、塾では1つ上のクラスで、気後れしながらも頑張っております。
今回ご紹介頂いた本も、心惹かれます♪
稲荷山戦記を読み終えたら、リトルターンも借りたいなぁ。
表紙の絵も、いい感じですね!
食欲の秋・芸術の秋・・・そして、読書の秋!秋は本当にいい季節です^^
2006/10/27(金) 08:17:46 | URL | mai #-[ 編集]
mai 様、いらっしゃいませv
「ぼくの・稲荷山戦記」、文庫本とハードカバーの違いは
「漢字が多いか・少ないか」程度だそうです。
元は児童向けなので、ハードカバーは
それを意識して字が読みやすいようになっているとか^^

韓国語、前よりも更に上のクラスに進まれたんですね!
すごいです~v
気後れなさることなどありませんよ。
mai さんの頑張りは いつもちゃんと実を結んでいますものね。

過ごしやすい秋になって、私もようやく「自転車生活」を
ちょっとづつ始めました。
mai さんのように遠くまでは行かれませんが、
お蔭様で行動範囲がグンと広がりました。
有難うございます^^

色々と素敵なことが起こりそうな秋です。
今のうちにじっくり堪能しましょうね~v
2006/10/27(金) 19:22:39 | URL | 銀猫 #MfasQhOY[ 編集]
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